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CDNの仕組みからコンテンツ配信の3つの方法を解説
Netflix(ネットフリックス)は、2023年1月時点での加入者数が2億3,100万人のコンテンツプラットフォームで、制作会社です。Netflixは快適な視聴体験のために、全世界で展開する独自のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)、通称「Netflix Open Connect」を導入しています。
NetflixやYouTubeなど、映像や音声を配信するサイトでは、CDNは切っても切り離せない存在です。本記事では、CDNの仕組みやメリット、デメリットについてわかりやすくご紹介します。
コンテンツ配信の3つの方法
コンテンツ配信では、アクセス集中によるネットワーク負荷に対応しやすい仮想マシンを利用したネットワーク構成が多いです。利用者の満足度に大きく影響するレスポンスタイムを短くするネットワーク構成やメリット、デメリットをご紹介します。
☑︎|仮想マシンを利用したコンテンツ配信
☑︎|オブジェクトストレージ
☑︎|CDN(コンテンツ配信ネットワーク)
仮想マシンを利用したコンテンツ配信
仮想マシン(VM)は、コンピューター内にソフトウェアを使い、疑似的に作成したコンピューターのことを指します。コンテンツ配信では、仮想マシンとロードバランサーを併用した構成が多く見られます。
ロードバランサーと複数台の仮想マシンでの構成は、負荷分散や拡張性と可用性を高められるメリットがあり、動的コンテンツの配信に適しています。
デメリットには、料金が高額になりがちなこと、構築に手間がかかることがあります。
オブジェクトストレージ
オブジェクトストレージサービスは、大容量データを格納・管理できるサービスです。容量の拡張にも対応しやすく、安価に利用できるのがメリットです。動画や画像、バックアップや長期アーカイブなど堅牢さが重要視されるものに利用されています。
オブジェクトストレージのデメリットは、アクセス速度の品質を保つためにはノウハウが必要であることや、スクリプト処理やファイル追記が生じた際に手間がかかることがあります。
CDN(コンテンツ配信ネットワーク)
仮想マシンを利用したサーバーの拡張性と、動画など大容量なデータの格納を安価に利用できるオブジェクトストレージは、動画配信の基盤に欠かせないものです。
一方で、サーバーをスケールアップする際にかかる費用の増大や、オブジェクトストレージを利用した場合の速度品質の維持コストは、動画配信企業にとって大きなデメリットとなります。
そこでデメリットを解消するために、CDNサービスがあります。
≫≫ CDNサービスをシェア順で比較!市場や料金についても徹底解説
CDNの仕組みとは?
CDNは、利用者に最も近いキャッシュサーバーから、画像や動画などのWebコンテンツを配信する仕組みです。CDNでは以下の2要素で構成されています。
☑︎|オリジンサーバー
☑︎|キャッシュ(エッジ)サーバー
オリジンサーバー
コンテンツのオリジナルファイルをホスティングしているサーバーを指します。オリジンサーバーには、クラウドサービスやオンプレミスサーバーがあります。最初の利用者のアクセス時やキャッシュが失効した際にオリジンサーバーにアクセスし、コンテンツを取得します。
キャッシュ(エッジ)サーバー
世界各地に設置したキャッシュ(エッジ)サーバーで構成しているサーバー群です。利用者がコンテンツを閲覧する際に、最も近いキャッシュサーバーからコンテンツの配信を行います。
CDNによるコンテンツ配信をを高速化する仕組みにキャッシュがあります。最初にアクセスした利用者のリクエストはオリジンサーバーに到達しますが、2人目以降の利用者は、最初の利用者のキャッシュ(記憶装置に蓄積)しているデータを提供するため、より速くページ表示できます。
CDNを活用することで、Netflixなど大規模に動画を配信するプラットフォームでも負荷分散を行い、表示速度の高速化を実現します。
アクセス集中時の負荷分散を行うことで、サーバーダウンを防ぎ、ECサイトでは購入の機会損失や売上の減少を防ぎます。
≫≫ Webサイトの表示速度を改善するCDN・キャッシュとは?
CDNの重要性とは?
昨今のWebサイトは動的コンテンツの利用が主流になり、娯楽面ではライブ配信や動画のストリーミングサービスが普及しています。このような時流でCDNは速度の遅延を減らすことができるため、導入する企業が増えています。
☑︎|CDNを利用するメリットとデメリット
☑︎|CDN利用時の注意点
CDNを利用するメリットとデメリット
CDNはキャッシュ機能により、同じコンテンツを再度アクセスした際に元のサーバーにアクセスする必要がなくユーザーに近いサーバーから配信されます。そのため、表示速度を高速化させるメリットもありますが、そのほかにも以下のメリットもあります。
メリット①|データ転送量のコストの削減
Webサイトのホスティングにかかるデータ転送量は、データの流量でコストが加算されるため、費用が大きくなりがちです。CDNを導入することで、オリジンサーバーが提供するデータ転送量を減らすことができ、サーバーのコストを削減できます。
メリット②|可用性と冗長性の向上
大量のトラフィックやサーバーなどハードウェアの故障は、Webサイトの正常な稼働を止める可能性があります。一方でCDNは分散型の構成で、このようなリスクを回避しオリジンサーバーよりも多くのトラフィックを処理し、ハードウェアの障害に耐えることができます。
CDNの利用にはメリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは、キャッシュの仕組みに関連したデメリットをご紹介します。
デメリット①|設定ミスによりキャッシュ事故が起こる可能性がある
CDNの設定を誤ると、キャッシュすべきでないデータをキャッシュし配信する場合があります。過去の事例に、設定ミスで個人情報が漏えいしたケースもあり、企業の信頼性に大きく影響を与えました。このようなキャッシュ事故を防ぐためにも、CDNの設定は定期的な確認が必要です。
デメリット②|古いデータが配信されることがある
CDNはオリジンサーバーで実施された変更が、キャッシュサーバーに反映されるまでに一定の時間が必要です。反映しきるまでの間にキャッシュサーバーにキャッシュされた古いデータが配信される可能性があります。
変更の反映にも時間を要す場合がありますが、同様に削除も利用するCDNによっては時間を要するケースがあります。コンテンツの削除が必要な場合に備え、パージ(削除)の速度を導入時にチェックが必要です。
CDN利用時の注意点
CDNは可用性や冗長性を高めますが、全ての可用性や冗長性をCDNだけで担保できるわけではありません。CDNが配信しないコンテンツ(例えば、利用者毎の個別情報など)を担うオリジンサーバー自身の耐障害性も確保する必要があります。
そのため、CDNと組み合わせてオリジンサーバーの可用性や冗長性を高めることで、より堅牢なシステム構成を構築することが重要です。
まとめ
動画配信サービスはCDNにより、高速な視聴と高いCX(顧客体験価値)を実現しています。CDNの利用には、コスト削減や可用性や冗長性の向上などメリットが多くあります。
便利な一方で、正しい設定や確認作業を怠ることで事故が生じる場合もあります。
CDNの導入を検討する際や利用時には、仕様を正しく理解し、正しい設定ができているか定期的な確認を実施しましょう。