MEGAZONE

MEGAZONE
Tech ブログ

CDNとは?基礎知識や仕組みからメリットまで徹底解説
CDN

CDNとは?基礎知識や仕組みからメリットまで徹底解説

近年、Webサイトやアプリケーションなどを活用して業務を行う企業が増えています。
インターネットを通じて世界中に情報を発信できる一方、Webサイトやアプリケーションへのアクセス数が急増した場合、オリジンサーバーに負荷がかかり、コンテンツ配信速度が低下し、ユーザーの不満を高めてしまう可能性があります。

この問題を解決するために「CDN」と呼ばれる技術が使われています。CDNはユーザーからのリクエストに高速で応答し、サイトの応答性や安定性を向上させることができます。

この記事では、CDNの仕組み、セキュリティについてわかりやすく解説します。どのようなCDNサービスがあるのか、利用する上での注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

マンガでわかるクラウド活用マルチCDN編

【基礎知識】CDNとは?

【基礎知識】CDNとは?

はじめに、CDNとはどのようなサービスなのかを理解してもらうために、CDNの基礎知識について以下3項目を解説します。

☑︎|CDNの意味
☑︎|CDNの市場規模
☑︎|CDNの仕組み

CDNの意味

CDNとは、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(Content Delivery Network)の略称です。
CDNは、自分のページに読み込む画像や音声、動画、CSSやJavaScript等の外部ファイルなどの読み込み速度の向上・改善を目的に利用されています。

CDNの市場規模

CDNは、Webサービスを提供する側にいなければ、中々身近に感じられないかもしれません。実際、世界でのCDN市場規模はどの程度なのでしょうか。

2021年5月13日にREPORT OCEANが発表したレポートによると、CDNの市場は、2021年から2027年にかけて15.4%のCAGRで成長、2027年には365億7538万ドル日本円換算:約5兆4,454億円に達すると予測されています。
そして、2020年でも134億1,987万ドル(日本円換算:約1兆9,967億円)という途方も無い規模となっているのです。

この市場規模の急増の背景には、さまざまな企業が最先端記述を導入していることや、通信分野で新たな工程が必要となっていることが後押ししていると考えられています。加えて、世界的なコロナ禍もネット社会の拡大に大きく影響しました。

市場分類を世界の地域別に分けると、以下の通りとなります。

CDNの市場規模

CDN市場の中心はこれまで北米でしたが、今後数年でアジア太平洋地域や第三の成長地域が急増することが予測されており、CDN市場は今後も拡大を続けると考えられます。

CDNの仕組み

CDNは、Webコンテンツを閲覧するユーザーと、コンテンツを提供するオリジンサーバーの間に配置されることで、高速かつ安定したコンテンツ配信を実現します。

通常、ユーザーがWebコンテンツにアクセスする際は、オリジンサーバーに直接要求を送信し、サーバーからコンテンツをダウンロードしています。しかし、アクセス数が増加するとオリジンサーバーに負荷がかかり、コンテンツの配信速度が低下する恐れがあります。

そこで、CDNを介することで、ユーザーからのアクセスを分散させ、オリジンサーバーにかかる負荷を軽減します。
CDNは、複数のエッジサーバーを配置しており、ユーザーからの要求に応じて最も近いエッジサーバーがコンテンツを提供するため、高速なコンテンツ配信が実現できます。

さらに、CDNはコンテンツをキャッシュすることができるため、同じコンテンツを何度もオリジンサーバーからダウンロードする必要がなくなります。これにより、コンテンツのダウンロード速度が向上し、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
CDNの利用により、オリジンサーバーへの負荷軽減配信速度の向上運用コストの削減などにつながります。

CDNを導入するメリットとデメリット

CDNを導入するメリットとデメリット

CDNを導入することで、Webサイトの表示速度が向上しユーザビリティの改善に直結します。
しかし、CDNを導入する上でのデメリットも存在します。この章では、CDNのメリットとデメリットを解説します。

☑︎|CDNを導入するメリットについて
☑︎|CDNを導入するデメリットについて

CDNを導入するメリットについて

CDNはトラフィックを分散してユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを配信するため、Webサイトのサーバー負荷が軽減され、Webサイトの速度が向上します。
Webサイトの読み込み速度が向上すると、ユーザーはストレスなくWebサイトを使用することができるため、ユーザビリティの向上に直結します。

また、CDNはサーバーに負荷がかからないようにトラフィックを分散しているため、大規模なトラフィックが発生した場合でも、Webサイトがダウンするリスクが低くなります。

その他にもCDNを導入することで得られるメリットは、SEOの評価につながったり、セキュリティ対策にもつながります。

≫≫ CDN導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説!

CDNを導入するデメリットについて

CDNを導入するためには、配信地域やトラフィック量などからコストを算出して支払うことになります。特に、高性能なCDNを利用する場合は、コストが高くなる可能性があります。

また、キャッシュの問題もあり、キャッシュを利用してコンテンツを配信する際に、更新されたコンテンツを反映するまでに時間がかかるため、一部のユーザーが古いキャッシュを参照する可能性があります。

この問題を解決するためにも、CDNのキャッシュの有効期限を短く設定することもできますが、これによってパフォーマンスが低下する可能性があります。

≫≫ CDNにおいての「キャッシュ」とは?時間や確認方法も解説

代表的なCDNサービス5選

代表的なCDNサービス5選

世の中にはたくさんのCDNサービスがあり、多くのユーザーがCDNサービスを利用しています。
この章では、代表的なCDNサービスを5つご紹介します。

≫≫【比較】CDNベンダーのサービス一覧|日本国内のCDN市場のシェア動向もご紹介

☑︎|Akamai
☑︎|Amazon CloudFront (AWS)
☑︎|Google Cloud CDN
☑︎|Fastly
☑︎|Cloudflare

1. Akamai

Akamaiは、世界でもトップクラスのCDNサービスのシェア率を誇っているサービスです。本社はアメリカにあり、例えばマイクロソフトやアップルなどの世界規模の大企業や、日本企業であるトヨタやソフトバンク、楽天などを顧客として抱えています。

世界のWebトラフィックの15〜30%はAkamai経由だといわれており、CDN=Akamaiと呼ばれているほどです。

2. Amazon CloudFront (AWS)

Amazon CloudFrontとは、2008年からAmazonが開始したCDNサービスのことです。独自ドメインによるSSL設定やクッキーフォワードなどの細かな設定、ディレクトリごとにオリジンサーバーを使い分けるなどといった詳細な設定が可能です。

Amazon CloudFrontは従量課金型であり、AWSプラットフォームでRoute53やELBなどと同じプラットフォームで管理できます。Akamaiと同様にAmazon CloudFrontの国内のシェア率も非常に高いです。

≫≫ Amazon CloudFrontとは?機能や連携ができるAWSサービスをご紹介

3. Google Cloud CDN

Google Cloud CDNとは、Googleのクラウドサービス「Google Cloud」に搭載されるCDNサービスのことです。Cloud CDN は、定期的にアクセスするコンテンツをユーザーの近くにあるキャッシュに保存します。

コンテンツ閲覧のスピード・パフォーマンスの向上や配信コストの削減、送信元インフラストラクチャへの負荷の軽減につながるメリットがあります。

4. Fastly

Fastlyは、近年大きくシェアを伸ばしているアメリカのCDNサービスです。次世代のCDNとして注目を集めています。オープンソースである「Varnish」をベースに構築されており、詳細な設定をスムーズに行えるのが魅力です。

その中でも特に注目されているのが、一瞬でキャッシュクリアする機能であるインスタントパージ(リアルタイムパージ)になります。Fastlyは従量課金型となっており、一定量までは無料での利用が可能です。

5. Cloudflare

CloudFlareは、SSL、DNSなどのサービスを無料で利用できる点が特徴です。有料版でも定額で20ドルとなっているため、リーズナブルな価格でCDNを利用したいと考える企業におすすめです。

日本国内のCDNのシェア率もAkamaiやAmazon CloudFrontと並ぶほどに年々伸びています。

CDNを導入する前の注意点

CDNを導入する前の注意点

CDNは配信する地域や規模に合わせて料金体系が決まっていきます。また、各CDNサービスによってサポート体制なども異なります。そのため、CDNを導入する前にCDNの料金体系や、性能、信頼性などを十分に調査しておく必要があります。
この章ではCDNを導入する前の注意点を主に2点あげて解説します。

☑︎|CDNを導入する目的・地域・規模を明確にする
☑︎|自社に合うCDNを選ぶ

CDNを導入する目的・地域・規模を明確にする

CDNを導入する目的が明確であれば、それに合わせたCDNの選定や構成が可能となります。
例えば、「Webサイトの高速化を実現」「トラフィックの分散」「コンテンツのセキュリティを強化」など、さまざまな目的があります。まずは、CDNを導入する上での目的を明確にしましょう。

導入する目的が決まれば、あとはコンテンツを配信する地域と規模を明確にしましょう。
CDNを導入する場合、コンテンツを配信する「地域」「トラフィック量(規模)」などからコストを算出します。

CDNは、世界中に配置されたキャッシュサーバーを利用してコンテンツを配信し、通信時間を短縮することができます。そのため、主にどの地域にコンテンツを配信するかを考慮する必要があります。

また、CDNを導入する規模が大きい場合は、トラフィックの増加にも対応できるように、高性能でスケーラブルなCDNを選定する必要があり、逆に小規模な場合は、低コストで簡単に導入できるCDNを選定することができます。

このように、CDNを導入する前に目的や地域、規模を明確にすることで最適なCDNを選定することができます。

自社に合うCDNを選ぶ

CDNサービスを選ぶ場合、自社が提供するコンテンツの種類や配信方法に合ったCDNサービスを選ぶことが大切です。

CDNサービスは各社それぞれ性能や料金体系が異なります。
CDNの性能は、キャッシュサーバーの配置や帯域幅、アクセス制限などによって異なります。自社が提供するコンテンツの特性や、ユーザーの地理的位置やアクセス頻度に合わせて、CDNの性能を比較しましょう。

また、自社の利用範囲や規模に合わせた適切な契約内容や料金体系を確認することも大切です。もし、自社に合う適切な契約内容がわからないという場合は無料トライアルや無料枠でのCDNを利用することをオススメします。

その中で、Amazon CloudFrontは無料枠※が用意されているため、適切な契約内容を把握したい場合は、Amazon CloudFrontの無料枠で試してみましょう。※2023年3月時点

以上のポイントを考慮して、複数のCDNを比較検討し、自社に合ったCDNを選びましょう。

≫≫【AWSのCDNサービス】Amazon CloudFrontの料金からメリットまで徹底解説!

まとめ

まとめ

CDNを利用することで、Webサイトの表示速度の改善やサーバーの負荷軽減など、様々なメリットが得られます。また、CDNはDDoS攻撃被害を軽減できる可能性があり、セキュリティ対策としても有効です。

しかし、高いセキュリティ効果が見込まれるわけではないことと、過去に設定違いによるキャッシュ事故、大規模な障害に繋がったことがある点は認識する必要があります。

本記事でご紹介したCDNの注意点を認識した上で、安全かつ有効に使っていきましょう。

マンガでわかるクラウド活用マルチCDN編

 

この記事の読者はこんな記事も読んでいます